雲行きがおかしい。
天候はいたって良好だが、ワタシの雲行きは断然あやしい。
 
突如、気づく。
電車に間にあうため全力疾走していたのを諦め、気づく。
反対側に来ていた。
そうだ、家を出た時からすでに間違っていたのだ。

知らない駅が目の前に現れる。
完全に知らない駅だ。
反対側のその場所。ワタシは立つ。
しかし、ワタシはいたって落ち着いている。

無条件に周囲の景色に身を委ねる。
昨日から気になっていたことがぼんやりと思い出される。
その頭の中の頭の、考えの核心を考えようとすればするほど、
この考える私は質量を失っていく。
それでもたどり着かないいつからかの漠然とした考えに
思いをめぐらせていると、
具体的でかつ不鮮明で捉えにくい記憶が甦る。
やわらかくてかたい。
ちいさくておおきい。
白いようで白でない。
固体のようで液体のよう。
 
ふとした時、突如現れるいつものアレである。
たまに触れる事のできるソレのイメージを、
こうして頭でしっかり整理できるようになったのは最近の事である。
頭の中でワタシは
ソレをしっかりつかんで確かめようとするのだが、
いつも心臓の動きが少しおかしくなるのが分かるだけで、
イメージしか残らない。

なので今日はとことん突き詰めると決めた。
もっともっと無条件に軽くなって、頭の細胞の一番ちっちゃいとこまで行って
とにかくソレのイメージをつかもうかと思う。