ふと世界から離れる時。


不安。
焦り。
自分の地図の確実な地点に立たなければと思いは強くなる。
帰らなければ。
あそこへ。

ずっとこの頭の世界を浮遊しているわけにはいかないことは知っている。

ただ、帰りたいと思えば思うほどに路は複雑に見え、
迷い込んだ自分はさらに路を失う。


フリーズした体の中で思考だけがぐるぐると変化を見せる。

気づき。

そこには美しいものを美しいと思える幸せを大いに堪能する人々がいた。


魚は跳ね、波紋は広がり、時間は音にのっとられて思いのほか楽しげに世界は人々を取り込んでいた。