ayane-12292007-07-27

月を見る。女はほてったほほを両手で押さえ、ベランダへでて冷蔵庫から取り出したばかりのよく冷えたコーヒー牛乳を飲む。
月はずいぶんと西へと傾いている。
つきの下へ目をやる。
すると暗い屋根の上で夜風に毛を洗う猫がいる。
女は再びコーヒー牛乳に目をやる。
すると暗いグラスの中に小さな波紋が広がっている。
その波紋は女の持つ静かなはずのグラスの中で不気味にコーヒー牛乳を波立たせる。
女はこの状況を少し疑ったがどうも無視して次の思考には移れないようである。
とりあえず女はしばらくグラスに目を向けることにした。
ベランダの下の駐車場で男が二人話をしている。
いつも大きなエンジン音を響かせて車を納めに来る若者は、まだどこかをさまよっているようだ。
駐車場の横にそびえるビルの屋上には誰が与えたか知れぬコーヒー牛乳を、無心に舐める猫の姿がある。