牛小屋に行きたい

牛小屋に行きたいのだ

藁と牛糞と土となんかいろんなものの混ざったあのカオリを嗅ぎたいのだ

ネットで「東京 牛小屋」を検索してみる

牛小屋という同じ焼肉屋の情報ばかりがずらりと並ぶ

違う

私は牛に藁をあげて

唾液と鼻水がだらーっとするところを近くで見たいのだ

ああ

考えただけで芳しいあのにおいが

だれか

私に牛を!

牛小屋を!

ネコもイヌも恋しいけれど

今、無性に牛

中学の頃まで実家の向かいにあった牛小屋

小学校の頃は毎日通っていた

あの少しコワさもある迫力と

つぶらな瞳

そして何ともいえない独特のテンポ

…子牛が脱走してきたコト

…売られるトラックに詰め込まれる牛たち

…夜中聞こえるモーの声

あの牛小屋が無くなって約8年

崩れそうで薄暗い牛小屋と

そこに詰め込まれた牛さんたち

残像と身体の記憶はまだ現役

ああ、そこに牛小屋は無いのか?