さほど期待はしていなかった
だれもさがしてはいなかった
全部そう

あるけれどないもの

みえるけどみえないもの

いや、ものでもない

なんなのか?

空のペットボトルの中に噴水

枯れた菊の花びらの上にサル

女は妄想に頭をめぐらせた。

結局そこには(どこだ?と彼女は思う)イメージだけが
存在している
浮遊している

案外全部そうなのかもしれない
と、女は思う
知っていたけれど改めて思う


トイレのドアを開けるともう一つドアがあった
きっとその向こうにも
そしてその向こうにも
きっとそのドアは数を増やしていくのだろう

開けるべきか否か



…後ろを振り向くと一番目に開けたドアはもはや閉まっている
そう
もう手遅れなのだ